"思い出のマーニー"見たってよ
監督 米林宏昌
製作 鈴木敏夫
プロデューサー 西村義明
製作担当 奥田誠治、藤巻直哉
キャスト(声の出演)
高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣製作年 2014年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 103分あらすじ
札幌に暮らす12歳の内気な少女・杏奈は、悪化するぜん息の療養のため、夏の間、田舎の海辺の村に暮らす親戚の家で生活することになる。しかし、過去のある出来事から心を閉ざしている杏奈は、村の同世代の子どもたちともうまくなじむことができない。そんなある日、村の人々が「湿っ地屋敷」と呼び、長らく誰も住んでいないという湿原の古い洋風のお屋敷で、杏奈は金髪の不思議な少女マーニーと出会い、秘密の友だちになるが……。
率直に言います。
退屈だ・・・。
見終わった後、退屈で長かったなと思い上映時間確認したら103分・・・。
マジ(´・ω・`)?
ミステリーとしても中途半端。少女の成長譚としてのジュブナイルものとしても中途半端。キャラに魅力がなく、マーニーはただ不気味。
不気味で辛気臭い話だなぁと言う印象。
物語の核心は書かないようにして、指摘したいことを書きたいと思います。
1.病気の人間を酷使しすぎ
米林監督の前作、借りぐらしのアリエッティのラストもそうだったんですが病人走らせすぎ。アリエッティでは重い心臓病を患っている男の子が脅威の坂ダッシュ。
・・・死んでしまうだろ(´д`ι)
と思いましたが、本作の杏奈も喘息持ち。精神的なものも影響しているような話でした。それにしては走らせ過ぎじゃない?親戚の家に行ったばかりのころから、かなり走ってます。喘息描写はオープニングだけ。本当に喘息かどうかも怪しいです。オープニングを見る限り、喘息というより過呼吸にしか見えない。
2.物語全体に漂う不気味さ
ここからは私の妄想ですが、劇中では描かれませんが走ってブッ倒れて意識失っているかのようにも解釈できます。走ったりすると転ぶ。それをきっかけに(必ずではありませんが)マーニーが出てくるんです。白昼夢のような状態でマーニーが出てきて、夢の中のようなミステリアスな雰囲気でマーニーと邂逅します。これは、杏奈が夢遊病であるかのような描写です。
このマーニーとの邂逅が不気味です。この不気味さにはある理由があるんですが、まあそれはいいとして。
また別の話で、杏奈がマーニーと会った後、杏奈は泥だらけで道端でぶっ倒れているところを発見される時があります。それでも親戚の夫婦は何の取り乱す様子もなく至ってナチュラル。杏奈が目を覚ましても、靴片方なくしちゃったねー的な話をするだけ。
正直、この平穏さがかえって不気味でした。後半でもサイロに向かう杏奈を見つけて、さやかが声をかけても「マーニーに会う」とか言って、とりつかれたようにフラフラ歩いてきます。この不気味さ。
この不気味さはある理由があるのですが、夢遊病でしか説明できない気がします。
3.小道具の使い方の下手さ
せっかくイイ小道具がいっぱいあるのだから、もっとうまく使えるやり方があったのではと思います。見た方にしか分からないかもしれませんが、すいません。
・吸引機
まず、杏奈が喘息持ちなら吸引機を出すべき。発作が起きたら吸引機を吸う描写を入れて、物語の最後は吸引機を使わないというか捨てる描写を入れると分かりやすい成長が描けたのではと思います。
吸引機を小道具として使い、少年の成長を描いたグーニーズを参考にしてもらいたいものです。
・家庭菜園
せっかく野菜をおばさんが育てているなら、それを使っても杏奈の成長が描けたと思います。野菜も杏奈が育て、最後帰るときに収穫して頼子と一緒に食べるとかもできたのではと思います。
・色鉛筆
手紙の使い方はよかったです。初めはそっけない文しか書いていなかったのが、最後は絵手紙のようになってたり。ここで使われている色鉛筆も、回想シーンで拒否しているところがあるのだから、使うかどうか悩む描写もあればよかったかなと思います。
そうすれば、手紙の絵が色鉛筆で描かれていたり、杏奈の書いたマーニーの絵に色が付いていることに分かりやすく感動できたのになぁとがっかりしました。
・短冊
ベタだけど太った女の子との仲直りで使ったらおもしろかったと思います。最後、杏奈が謝ったら喧嘩のとき振り落とした短冊を太った女の子が渡すくらいの気を使ってくれたら、あの女の子の株もあがったのになと思います。あのままじゃ、ただの生意気なガキにしか見えない。ただベタだから自分でもどうかと思うけど・・・。
・木彫りの梟
おじさんが作っている木彫りの梟が度々でてきますが、これもうまく使えば杏奈の成長を描けたと思います。最初、杏奈も挑戦してうまくできないけど最後はうまく作れるようになる。これだけでも、ひと夏の成長を端的に表現できると思うのですが。
4.構成の下手さ
はっきり言って、どこが物語のピークなのか分かりません。
物語のピーク(らしきもの)が3つほどあります。
1.予告にあるような「あなたが好きよ」的な部分
2.久子が語るマーニーの話
3.最後に杏奈が『そうだったんだ…』と呟き涙を流すネタばらし。
1はネタばらしが済んでいないので、ここのエモーショナルなファンタジーちっくな描写になるまでのフリがなさ過ぎで何がなんだか分かりません。なので、ここまで2人が感情を爆発させるのが違和感しかなく、ただただ不気味です。
2はマーニーのお話で、マーニーの不幸な生い立ちがただただ悲しい話。じゃあ杏奈が会っていたのは?と急にオカルト話になってしまう。完全に観客置いてけぼりです。
3は、逆にフリが利きすぎて意外性もない。杏奈が『そうだったんだ』と絶句するようにビックリするのを見せられた観客は「気がつかなかったんかい!じゃ今まで見てたのは何だと思ってたんだ?久子の話はどう思って聞いてたの??」と杏奈がおバカさんに見えてしまう始末。
ジブリ史の観点から見ると、アリエッティのように面白い見方ができるらしいですが、それは知識のある方にお任せしますm(__)m
劇場では泣いてる人がけっこういたし、前の人は号泣にちかかったですが、私にとっては退屈な映画でした。
私の心が汚いのでしょうorz
話としては、ファンタジーなジュブナイルでおもしろくなりそうなのに、なんでこうなるんですかね。原作を読んでないので分かりませんが、原作はどうなのでしょうか?逆に気になります。
これに比べたら宮崎監督の風立ちぬは、飛行機設計者の人生というおもしろくならなそうなものを描いて、ダイナミックかつエモーショナルに描ききってしまった。高畑監督も竹取物語という擦りきった話を、新しい表現方法で描いてしまった。宮崎・高畑両監督が、 どれだけ凄かったかと思い知らされました。
スタジオジブリ作品というより、宮崎駿・高畑勲の凄さを再確認するために本作を見るのがオススメです。
おわり
- 作者: ジョーンロビンソン,ペギー・フォートナム,Joan G. Robinson,松野正子
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