ryoブログ

映画や漫画に対して、140字では語りつくせない思いをたれ流していきます

"渇き。"見たってよ

渇き。

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映画『渇き。』-YouTube

監督 中島哲也

原作 果てしなき渇き/深町秋生

キャスト 役所広司小松菜奈妻夫木聡、清水尋也、二階堂ふみ橋本愛オダギリジョー

製作年 2014年
製作国 日本
配給 ギャガ
上映時間 118分
映倫区分 R15+

あらすじ

妻の不倫相手に暴行を加えて仕事も家庭も失った元刑事の藤島昭和(役所広司)は、別れた元妻の桐子から娘の加奈子(小松菜奈)が失踪したと知らされ、その行方を追う。容姿端麗な優等生で、学校ではマドンナ的存在のはずの加奈子だったが、その交友関係をたどるうちに、これまで知らなかった人物像が次々と浮かび上がってくる。

渇き。 : 作品情報 - 映画.com

おもしろいとか、つまらないとかでいうならおもしろい気がします。

しかし・・・

私は、この映画が大嫌いです!

若干ネタバレも含みますので、あしからず。

 この映画は、世の中に存在する目を背けたくなるような悪意を詰め込んだ映画になってます。

一般的な日常生活を送っている場合は、遭遇することないような非日常的事柄がこの世の中には皮一枚隔てて存在するというような感じ。その垣根は、悪意や非道な行いで取り払われ容易に日常を蝕んでくる。

非日常的とは、暴力、いじめ、ドラッグ、レイプ、売春、殺人、権力悪など。

ファミレスシーンでは、その垣根の中間にいそうな人たちが出てきます。加奈子の同級生で話しの通じなさそうなDQN的な若者。

または藤島の斜め前にいる子持ちの母親。子供の一人は店内を駆け回り、もう一人は口の周りにありったけの生クリームをつけながらパフェを食い散らかしています。それを冷ややかに愛情感じられない目で見ては、携帯電話をいじる母親。

松永(高杉真宙)の母親がどう見ても生活保護を受けていそうな感じ。

常軌を逸しているとしか言えない藤島(役所広司)の狂気。この狂気は加奈子失踪に由来するものなのか、それとも生得的なものなのか。

悪の体現者のように描かれている加奈子。『この親にしてこの子あり』というように、藤島の元々持っている狂気にあてられて加奈子は悪に堕ちたのか?または桐子(黒沢あすか)のような母親がいて愛のない家庭だったからなのか。愛のない家庭になったから、藤島は狂っていったのか。もしくは元々悪であったのか。性善説をとるか、性悪説をとるかで解釈が変わるような描き方をしています。

見てみぬフリをしているけれど確実に世の中に存在する上記のような人達がいて、こういう表現が正しいとは思いませんが、この手の人達とは本当に関わりたくないと思う人達ばかりです。

少しでもこの手の非日常に関わると悲惨なオチがついてきて、悪の末路に幸福な最後はないということを強烈に見せている気がします。

特に、藤島にナンパされただけのギャルがあっさり殺されるのは悲惨でした。死体はどう処理したんだろ(゚Д゚)

映画の表現としては、フラッシュバックが終始使用されていて、見ているこちら側はクラクラしてきます。オープニングでは、錯乱状態とも言える藤島の精神状態を表すのに一役かっていると思います。

フラッシュバックが印象的なエヴァOP


新世紀エヴァンゲリオン OP 残酷な天使のテーゼ - YouTube

でんぱ組の曲も凄い使われ方でした…


でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」MV【楽しいことがなきゃバカみたいじゃん!?】 - YouTube

 

原作は未読なので作品としてどうこういうより、この映画見た感想を好き勝手言います。本当に好き勝手なので不愉快に思う方がいたらすいません。

そもそもどうしたいのか。

基本ストーリーは加奈子の失踪にまつわるミステリーです。両親が見てこなかった加奈子の素顔を知るとともに、加奈子失踪事件の真相に迫っていきます。

中島監督の前作『告白』では、映画が面白いというようり「おそらく原作がおもしろいんだろうなあ」と感じるできでしたが、本作はぶっ飛びすぎて評価できません。加奈子失踪事件に関しては分かりやすいオチで案外シンプルな事件でしたが、そこに辿り着くまでの映像の刺激が強くてエンドロール後も「私はいったい何を見たんだろう」と思いました。私が見た回の劇場では、エンドロール後の劇場が明るくなっても10秒くらいは誰も立ち上がりませんでした。立ち上がれなかったのかもしれませんが(´ρ`)

映像的な印象としてはキューブリックの亜流にしたいのか。映画的教養がないので分かりませんが、中島監督が本作を通して”もし”『時計仕掛けのオレンジ』的なことをやりたかったのであれば絶対に間違っていると思います。(時計仕掛けのオレンジは理解できるが、本作は理解できないという意味で)

特に子供に銃をつきつけたり、クリスチャンの母親を子供のいるとこでレイプしたり。原作ではどうなんでしょうね?許せないことが多い映画でした。見ていて不愉快になると言いますか。

ただ、終盤の屋上の殺し合いのシーンは楽しかった。

見ているこちら側も痛みを感じるような暴力シーンを描いている割に、藤島の必殺技のカークラッシュは案外非現実的なのがおもしろかったです。計4度ほど、車で突っ込みます。轢かれたオダギリジョーは立ち上がるは、妻夫木はヨーヨーみたく空中で回転するは。超現実過ぎて笑いました( ̄▽ ̄)

この映画は各々が見て、各々で評価を出してください。私は嫌いでした。もう一生見ることはないでしょう。

役所広司の気迫が凄かったですし、加奈子役の小松菜奈さんは美人だなぁと思いました。

おわり

本作は6月30日に見たのでランキングに追記しました。

2014年上半期に見た映画に勝手に点数つけるってよ - ryoブログ

新装版 果てしなき渇き 上 (宝島社文庫)

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