東京行ったってよ[野火、見たってよ編]
先日、休みを利用して東京に行ってきました。
2年ぶりぐらいの東京は、相も変わらず多くの人でクラクラきました(´・ω・`)
目的は3つ。
1.TOHOシネマズ新宿で『進撃の巨人前編』のMX4D鑑賞
2.渋谷でバケモノの子展参加
3.渋谷ユーロスペースで『野火』鑑賞
時系列で言うとこの順番です。けっこうタイトでした。
今回は時間軸では最後の『野火』について書きます。1.2は、後日また書きます。
映画『野火』 Fires on the Plain 予告編 - YouTube
あらすじ
日本軍の敗北が濃厚となった第二次世界大戦末期のフィリピン戦線。結核を患った田村一等兵は部隊を追放され、野戦病院へと送られる。しかし、野戦病院では食糧不足を理由に田村の入院を拒絶。再び舞い戻った部隊からも入隊を拒否されてしまう。空腹と孤独と戦いながら、レイテ島の暑さの中をさまよい続ける田村は、かつての仲間たちと再会する。戦場という異常な空間で極限状態に追い込まれた人間たちが描かれる。
スタッフ
監督 塚本晋也製作 塚本晋也
脚本、撮影、編集 塚本晋也
原作 大岡昇平
キャスト
塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作、中村優子、山本浩司製作年 2014年
製作国 日本
配給 海獣シアター
上映時間 87分
映倫区分 PG12
今作を見るきっかけは、もちろんこの番組。
今週の対象作品だったし、東京行くならこの辺じゃ見られない映画を見たいじゃないですか(`・ω・´)
で、決定!
ユーロスペースは渋谷の円山町にあるのですが、円山町といえば有名なラブホテル街。
iphoneという現代の最新機器を持っているのですが渋谷ヒカリエを後にし、109方面へ移動してからけっこう迷ってしまいました(´・ω・`)
ラブホテル街を行ったり、来たり(´・ω・)( ´・ω)( )(ω・` )(・ω・`)ウロウロ
本当にあるのかよー、と齢30になったばかりのおじさんがラブホテル街をウロウロすること10分弱。途中、熟年カップルとすれ違ったりなんだりした末に・・・
発見!!
一安心して、上映前の40分くらいで近くのイタリア料理屋に入りリゾット食いました。タバコ吸えてよかった( ´∀`)
で、本題です。
本作は・・・凄いものを見てしまった。
感覚としては、セデック・バレを見たときに似ています。
maskedrider-ryo.hatenablog.com
同名小説の映画化なのですが、本作以前に市川崑監督に撮られています。恥ずかしながら未見です。これを書いている時点で、レンタルで借りてきたので見たら比較した感想も追記したいと思います。(8/28追記しました)
原作小説も読んだことのない、教養のない私ですがつらつらと見た感想を書きます。
・印象的だったこと
1.音
ハエの羽音が耳から離れないほど印象的でした。轟々と劇場に鳴り響くハエの羽音は悪夢でした。なぜハエがいるかは、戦争映画ということを考えれば容易に想像できると思います。
2.人体欠損描写、死体描写
プライベートライアンの序盤がずっと続く感じ(というか、それ以上)です。
この映画、これでPG12なんだぜ・・・嘘みたいだろ。
これ見たら、映倫にかけ合って頑張ったという大好きな進撃の巨人ももっといけたんじゃないかと思ったりなんだりしました。
その辺に転がっている死体は、私が歴史の資料やNHKの戦争特集とかで見たことのある死体そのものとしか見えないようなものでした。死蝋化してたり、蛆が湧いてたり。
終盤辺りの一網打尽に銃撃されるシーンの凄惨さたるや・・・。
また、本作のレイテ島の戦いでの死亡原因の8割は病気、餓死。主人公達は飢え、人肉さえ食う状況です。
最後の田村一等兵、安田、永松の会話からのある展開がもう・・・。
悪夢です。
3.メッセージ
意図的に自然の美しし風景がインサートされ、極限状況にいる田村一等兵も思わず「美しい」と言ってしまうほどです。
もし自分が、おなじ環境にいて美しいと思えるのだろうか?
人が人を殺し、足元には死体。そんな地獄の状況でも、地球は相も変わらずただそこに存在します。人間の業の虚しさを感じました。
また、田村一等兵がジャングルの中寝ると悪夢にうなされるのですが、画面がグルグル回る中「また始まる、また始まる!」と叫ぶわけですが、これが現在の日本の状況に向けたセリフのようで印象的でした。
パンフレットを読んで
本作は塚本監督の鉄男から同じ『変身』をモチーフにしているみたいです。田村一等兵は戦争という極限状態の中で変貌していきます。
そして、本作は帰国後の田村一等兵の姿を描いています。
田村一等兵は食事をする際に狂人的に(何にか分かりませんが)拝み倒します。業を背負ってしまった人間の後姿。
帰国後、PTSDに悩まされたアメリカンスナイパーのクリスを思い出しました。
市川崑版『野火』(8/28追記)
基本構造は驚くほど(原作が同じなのだから、当然といえば当然なのですが)同じです。
市川版『野火』もそれはそれで、抑えた作風で目を見張る演出もありました。
ボロボロになった靴を行軍が履き替えていく様や、米軍の戦闘機から銃撃を受けた行軍は死んだフリをし、生き残ったもののみ立ち上がりのそのそ歩き出す後姿をずっと撮っている様など。
違いは人物の話し方などが塚本版がいい具合に現代的だったりします。
決定的な違いは、市川版が人が戦争で死ぬ様をうまくオブラートに包んでいるのに対して、塚本版はめをそむけたくなるほど剥き出しのまま描いています。
市川版の野火は田村一等兵は人肉食を行わなくてすむのですが、塚本版は不可抗力的に人肉食というタブーを行ってしまいます。そして、塚本版は帰国後の罪・業を背負って生き延びてしまった田村一等兵の姿を描いていました。
まとめ
もし、見られるのであれば劇場で見ることをオススメします。これは見てこそ伝わるものだし、見なきゃ分からないと思います。
戦争も大儀とか何とか言っても、ただの人と人の殺し合いに過ぎないのだと改めて実感しました。
オススメです!
後日談
クレジットで見て中村達也ってあって、映画見ていてまさかと思ったけど、そのまさかでした。彼、今は役者なんですかね?
BLANKEY JET CITY - 赤いタンバリン 1999.12.21 - YouTube
ユーロライブでは現在キューブリック作品を上映していました。
こういう楽しいイベントが、毎日そこら中でやってるんだもんなー、いいなぁー東京
(´・ω・`)
おわり