「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前編」見たってよ
悔しい!という思いで書きます。ネタバレもあります。
あらすじ
100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていた。壁に守られた安寧とした生活に苛立ちを覚えるエレンは、まだ見ぬ外の世界を夢見ていたが、ある時、そんなエレンの目の前に人類の想定を超える超大型巨人が出現。壁の一部を破壊し、そこから巨人たちが町になだれ込んでくる。次々と巨人が人間を食らう地獄をからくも生き延びたエレンは、2年後、対巨人兵器の立体機動装置で武装した調査兵団の一員になっていた。調査兵団は壊された壁の修復作戦を決行するが……。
スタッフ
監督 樋口真嗣特撮監督 尾上克郎
原作 諫山創
脚本 渡辺雄介,町山智浩
キャスト
三浦春馬,長谷川博己,水原希子,本郷奏多,三浦貴大,桜庭ななみ,松尾諭,渡部秀,水崎綾女,武田梨奈,石原さとみ,ピエール瀧,國村隼
製作年 2015年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 98分
映倫区分 PG12
自分は初日に見に行って、最後のタイトルが出た瞬間ガッツポーズしてしまったし、後編の予告が終わった後のエンドクレジットが終わるまで震えましたよ。
勝った・・・!
って思いましたよ、正直。
やってやった!と。
文字通りGIANT KILLINGできてるよ!と。
これなら、漫画の実写化は成功としないとか、原作と設定が違うとか、リヴァイがいないとか言ってた人たちを黙らせられる!と。
で、上映から1週間が経とうとした今どうですか?
何?この不評の嵐・・・。
私は、断固として支持します!
個人的に良かった点
1.巨人の不気味さ
世間では「お笑い芸人に似ている」となんやかんや言われてるみたいですが、その辺にいそうな顔をした人がバリバリ『お腹満足』的に人を喰らうので最高でした。より巨人への恐怖をかきたてられました。
実際の生活で起きたら最低なことがスクリーン上で起こる・・・最低つまり最高ですよ。
昨年の寄生獣のようにPG12でここまでできたことは本当に素晴らしいと思います。規制、自粛でなんやかんやで厳しいこの時代に、子供が見たら悪夢を見そうなトラウマ映画を作ることができたことが見ていて誇らしかったし喜ばしかったです。
巨人初登場で兵士が100年の平和ボケで大砲の扱いもままならなかったり、「火薬の使用許可がおりていません!」とか目の前で起きていることを理解できずどうしようもないお役所人だったり。
逃げ惑う群衆の中にも、気が触れて歌い踊っている人がいたりして。
巨人は巨人で、詰め放題セールに群がるように人を掴み放題食い放題。
教会に逃げ込むも教会に残り続けた人は、さらなる地獄を味わうのは「ミスト」のようで、お約束のように扉の下から流れ出す血液。パニックホラー的で最高でしたよ。私は。
惜しむらくは、戦場のような巨人が暴れまくった街をフラフラと歩くエレンがその惨状にゲロ吐く描写とかもあったら、なお良しでした。あえて言うならね、あえて。
2.あらゆる特撮を駆使した映像
確かに立体起動装置での移動の背景との違和感とかは否めません。カメラを速く動かしたりして何とかスピード感を出しつつ、そこから気をそらそうともしていますが違和感は感じてしまいます。
だけど超大型巨人のCGじゃないの?というくらいのパペット。爆破。巨人達の特殊メイクやモーションキャプチャーを駆使したVFX。
実際に20m以上吊り上げたりして行われた、役者陣が体を張ったワイヤーアクション。
エレン巨人のスーツメーション(要は着ぐるみです)。CGではなく『実』を持った肉体だからこその迫力あるアクション。
最高だったんですけど・・・
エレンが巨人に捕食されて、食道を通るシーンや胃の中は昔ながらの画作りの感じがしました。巨人化したエレンが救出されるところはエイリアンのように粘膜に覆われてグビャ~って出てくるし。グビャ~って。
かわいくするとこんな感じ
世間では特撮オタクが騒いでるだけとか、言われてるみたいですけど血がたぎりましたよ。私は。
3.純粋なカタルシス
中盤までは巨人に食われてばかりの人間達。後半は立体起動装置でズバズバ倒して、少し光明が・・・と思いきやエレンは食われる。追い詰められるハンジ達。最強のカリスマ兵士のシキシマはどこにいるか分からないし、めっちゃ強いミカサの立体起動装置のガスはないはブレードも折れる。
絶・対・絶・命
からの・・・巨人の腹からドーーーーーン!と登場するエレン巨人。ウルトラマンのようにドーーーーン!と出てくる。そして・・・
大暴れ!
その暴れっぷりは暴走初号機だし、第4の壁突破演出であるレンズに血がつくというギミックまで。これでもかという爽快感!今までの鬱憤がこれでもかというほうど解放されました。
今まで戦いでも性でも中途半端に寸止めされてたエレンの怒りとリビドー大爆発という感じで最高でしたよ。
今までやられて、やられて、やられて、最後に圧倒的に勝つ。こんな純粋でシンプルなカタルシスを感じられる作り・・・見ていて爽快な気分になりませんか?
私は最高でした。
個人的に不満だったところ
1.リル役の武田梨奈さんやヒアナ役の水崎綾女さんのアクションが少ない
2.エレン役の三浦春馬さんが童貞に見えない
3.顔とか汚したりして、戦場の雰囲気をかもしているけど芸能人は歯が命と言わんばかりに歯が綺麗にホワイトニングされてる。
くらいですかね。
この作品の製作については秘宝やキネ旬を読んで欲しいんですが、批判的な人まぁ読まないでしょうがリンク下に置いときます。
脚本に関わった町山智浩さんのコメントも張っておきます。火曜たまむすび内でのコーナーです。
【必見】町山智浩 実写版「進撃の巨人 Attack On Titan」たまむすび - YouTube
様々な批判に対する考え
・リヴァイがシキシマ?
確かにシキシマは人気キャラのリヴァイがモチーフになっているのは間違いないです。ただリヴァイじゃないんですよね。町山さんが言うように、日本人がリヴァイを名乗るには説明が必要だし、ギャグになってしまう。
「だったら、設定も全部変えればいいじゃん。中途半端に設定残して主役キャラは名前一緒だし」となるわけですが、それを言われたら・・・。
でもさー、でもさー・・・。
ただリヴァイが旧約聖書に出るユダヤ人の名前だから変えた、リヴァイを名乗るには説明が必要という理由は、決してバカみたいではない!映画ってそういうものだから。
・エレンの戦う理由が変わってる
原作者の諌山創さんが非リア充であることをアイデンティティにしているように、この映画のエレンも鬱屈した若者になってて私はいいと思います。
仕事は長続きしない。喧嘩っ早い。童貞。
そのフラストレーションは、壁に囲まれていて出られないという閉塞感とシンクロしていると思います。
戦う理由も『母を失う』ということから『ミカサを失う』という具合になっています。漫画のように子供時代のエピソードがないので、ある程度成長した若者が「母さん、母さん」いうより恋心を抱いていたような幼馴染を失うほうが自然な気がします。
また童貞エレンが人妻のおっぱいモミモミに気をとられて油断した隙に、相手が巨人に食われてしまうという『未熟な若者の取り返しのつかない過ち』も今後のエレンに重い十字架を背負わせるのにいいエピソードだと思います。
心臓を捧げよの劇場の声が響く感じ、好きなシーンです
・恋愛要素が多くてなんだかなー
戦争等の日常の倫理や常識が崩壊した世界で人間に残るのは、動物的本能に根ざしたものだと思います。MADMAXでも『SURVIVE』ってありましたよね、イモータン・ジョー先生?
だから、死と隣り合わせの世界で生に通じる性を描くのは当然だと思うんですが。
先日の「海街diary」も長澤まさみのベッドのエロス(性)で始まり喪服であるタナトス(死)で終わりました。
ホラー映画で最初に脱ぐ女は、必ず死ぬというお約束もちゃんとありました。
水崎綾女さんのむっちりしたお尻のバックショットは、きっとあの映画を見に来た子供たちの性の目覚め的な意味でもトラウマ映画になるのではないでしょうか(ゝω・)
しかしシキシマとミカサができているのには笑えましたけど。初登場の戦闘のあと見詰め合ってて怪しい度100%でしたが、シキシマ齧ったリンゴを差し出され齧った部分を齧るというエロス。
童貞エレンは発狂。
このシーンは個人的に楽しかったんですけどね。
シキシマとミカサは肉体関係があるでしょうが、その本心はミカサの右手を見れば明らかですよね。
・大声を出すなと言うのに騒ぎすぎ
車内では車の音にまぎれているとして、確かにヒアナが「赤ん坊の声がする」とフラフラ歩いてく時は、小声だったけどそんな話していいのかなと。トラウマレベルの赤ん坊巨人見つけて叫んでからは喚きながら仲間達の元に逃げてくるし。
確かに軍法会議ものの大失態といわざるをえません。
隊長が食われるという犠牲出して、ヒアナがお咎めなしっていうのもね・・・。
ただ「叫ぶなら舌を噛み切れ!」とまで言っていた隊長が(←これを言っていたのはハンジでした、すいません2015/9/11追記)「大声出すなぁあ~!」と大声を出しながら巨人に食われるというギャグはお約束で好きですけど。
あと立体起動装置を使わず斧で戦うサンナギは、遠距離タイプのサシャがいるのだからパワータイプがいてもいいのかなと。ただ、巨人の腕を持って投げ飛ばした後の大絶叫は「大声出すな」といわれてるし、投げ飛ばされただけで動かない巨人にも??となるのも事実です。
遠距離のサシャ
パワーのサンナギ
・リルの特攻
自分もこれが分からなくて、なぜ残された貴重な火薬に火をつけ特攻したのか?うなじを削がないと倒せない巨人には無意味なのでは?仲間のことを考えられないくらい最愛の人を失い狂気に走ったということなのでしょうか?
まぁ車を奪うためにゲシゲシ蹴って「巨人は皆殺しだぁあ¥!」という一連の流れは楽しかったです。
・ミカサがなぜ巨人化したエレンに気づいたか意味不明
恐らくこの説明は後編にあると思います。決して愛の力とかそんなチープなことじゃないと思いますよ。シキシマもソウダも何か知っている風だったし。
これに関してあーだこーだ言うのは時期尚早だと思います。
まとめ
私はこの作品が大好きです
エンドタイトルの出し方とそれまで盛り上げていたBGMが一転、ゴジラ的な不穏な音楽が流れるのもよかった。
エンドクレジットもエクスペンダブルズのようにキャラを象徴する武器などに役者の名前が出る演出も好きです。
後編の予告も派手で、後編のタイトルがスクリーンに溢れんばかりでアガりましたよ。
寄生獣のように後編でがっかりってことにならなそうなので一安心です。
劇中でミカサが弾いていた『The End Of The World』
この歌詞が作品の世界を象徴しているみたいです。歌詞はうまいこと調べてください。すいません(_ _)
ちなみに歌の中で繰り返し歌われる歌詞は『みんな世界が終わってしまったことがわからないのだろうか』ということです。
Skeeter Davis -- The End Of The World - YouTube
カーペンターズにもカバーされています
The Carpenters -- The End Of The World - YouTube
後編が楽しみです!
シキシマが「跳べーっ!」といわんばかりに四の五の言わずに「見ろっ!」と言いたいです。
おわり