ryoブログ

映画や漫画に対して、140字では語りつくせない思いをたれ流していきます

"海街diary"見たってよ

久しぶりに、ブログ更新します。誰に、求められているわけではないですが・・・
今回、紹介したいのは「海街diary

 

 


綾瀬はるか、長澤まさみらが4姉妹に 映画『海街diary』予告編 - YouTube

あらすじ

鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。

監督 是枝裕和

原作 吉田秋生

脚本 是枝裕和

製作 石原隆、都築伸一郎
キャスト
綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すず加瀬亮鈴木亮平池田貴史、坂口健太郎、前田旺志郎キムラ緑子樹木希林リリー・フランキー風吹ジュン堤真一大竹しのぶ
製作年 2015年
製作国 日本
配給 東宝、ギャガ
上映時間 126分

海街diary : 作品情報 - 映画.com

素晴らしい作品なのは違いなく、傑作だと思います。日本映画らしい日本映画。 

 

2013年『そして父になる』で是枝監督に感銘を受けて、過去作品を貪るように見たのは今は昔。昨年夏に、今作をこのキャストでアナウンスがあってから原作は読み倒しました。思いが叶って、試写にあたり本公開後も見てやっと消化できて今に至ります。

にわかのような者で、シネフィルというほど、映画史にも詳しくないですし、この撮り方が・・・というほど知識もないので、この作品から感じたことをつらつらと。 


素晴らしかったとこ
・是枝監督の演出
是枝演出の一つが、台本を与えず口頭でセリフを伝える。これは主に子役に用いられるものですが、主役の広瀬すずちゃんにも、使われたみたいです。冒頭の子供らしい子供といい、子役が役者ではなく子供そのものとしてスクリーンに映る。これが本当に素晴らしいです。

また、カメラの回っていない際の日常会話も脚本に取り入れたりもするそうです。これによって、役者から発せられるセリフに血が通い生々しさも増します。さりげなくされる会話が、実に自然です。その自然さが劇映画というより生活をのぞき見しているようです。

『ビフォア~』シリーズや『6才のボク「が大人になるまで』のリチャード・リンクレイターもこの手法を使っています。


ビフォーサンセット 2004 - YouTube


映画『6才のボクが、大人になるまで。』予告編 - YouTube

 

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この海猫亭の会話とか微笑ましい

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レキシの足の指写メ撮ります?とかね

・ロケーション

 

4人の住む家もそうですが、実に日本的な画で本当に素晴らしい。どのシーンも、よく見つけてきたな、と関心するほどいい場所です。

 

長澤まさみ夏帆

長澤まさみのエロさと女優感に1票。夏帆の自由奔放なナチュラル3女に1票です。

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・感じたこと

今作は是枝監督作品に多く共通する「家族」をテーマとしたものでありながら、生と死。引いては伝統、喪失、継承といった「時間」をテーマにしたものでもありました。
時間に関しては、パンフレットにも記載されていましたし、興味深い音源もあります。
こちらをどうぞ。


2015 06 27 東京ポッド許可局 ~海街diary論~ - YouTube



画面に写る季節の移り変わりや、些細な主人公の末っ子すずの姉たちに対する言葉遣いでも時間の経過が分かるようになっています。 

作中に葬式や法事といった場面がありますが、これも時間の経過を表すものだし日本の伝統・文化であるともいえます。

今は亡きおばあちゃんの漬けた10年ものの梅酒と、自分達で漬けた梅酒。家の柱に刻まれた香田3姉妹の成長の印と、新しく家族になった末っ子すずの印。 父がすずに食べさせたという『しらすトースト』が鎌倉に住んでいたときに覚えたらしいというのも、文化の継承ともいえます。

時間の流れは残酷でありながら、美しい。失うものもあれば得ていくものもある。その美しさを説明ではなく、映像で見せられ不意に感じたとき人生の素晴らしさにきづいてしまうものです。
終盤の幸とすずのやりとりで「甘め、すっぱめ?濃いめ、薄め?」のくだりは、何気ない会話でありながら、現に頬がぬれている私はいったい・・・(ノД`。)状態です。

画的な美しさでいえばラストの砂浜を歩く4人は、その傍らに写る海のようにさらなる人生の広がりを感じさせる美しいラストとなっていますし、不意に写る鎌倉の風景も美しいです。

すずと風太が二人乗りの自転車で走る桜並木の道。すずの顔にアップになると、1枚の桜の花びらがすずのおでこに乗り、グーッとカメラが花びらに寄ると花びらは飛んでいってしまう。これは奇跡のショットとも言えるでしょう。

 

本作は、本当に日本的で美しく素晴らしい作品だと思います。

見終わった後は「人間っていいな、生きるっていいな」と清々しく劇場をあとにできること間違いなしだと思います。

 

惜しむらくは、楽しみすぎて原作を先に読んだことです。

幸姉のイメージと綾瀬はるかのパブリックイメージと妙に違和感があったのと、色々あるエピソードを詰め込みすぎなのでは?とも思いました。

しかし、すずの友達の裕也の話をカットしたり、改めて読み返すと大変うまくまとまっているとも思いました。なま言ってスイマセン(´・ω・`)

1回目見たときよりも、2回目はそいうノイズなく作品に集中して見れました。

 

とりあえず素晴らしい純日本映画だと思うので、公開から日にちがたち上映回数が減ってはいますが、未見の方はぜひみることをオススメです。

 

海街diary 1 蝉時雨のやむ頃 (flowers コミックス)

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SWITCH Vol.33 No.6  是枝裕和の20年 ”海街”へー ある家族の物語

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海街diary (小学館文庫)

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