”小野寺の弟・小野寺の姉”見たってよ
監督・原作・脚本 西田征史
撮影 相馬大輔
照明 佐藤浩太
キャスト
向井理、片桐はいり、山本美月、及川光博、ムロツヨシ
製作年 2014年
製作国 日本
配給 ショウゲート
上映時間 114分あらすじ
早くに両親を亡くし、2人で暮らしている33歳の弟・小野寺進と40歳の姉・小野寺より子。引っ込み思案で奥手な進は、過去の失恋の痛手からいまだに抜け出せず、世話好きなより子はそんな弟にとやかく口を出しながらも、2人は程よい距離感を保ちながら暮らしていた。そんな小野寺家にある日、1通の手紙が誤って配達される。その手紙をきっかけに、進とより子それぞれの恋と人生が動き始めて……。
元々小説だったものを舞台化し、映画化したという作品のようです。そして舞台版も映画も原作者自らが監督するという多才ぶりです。
まずポスターのビジュアルがいい!
向井理のイイ男っぷりと片桐はいりの1度見たら忘れられない強烈なビジュアルが何ともいえないです。このポスターで見ようかなと思わせられました。
・作品全体の感想
全体としては小野寺姉弟の日常とそれぞれの恋愛のハートフルコメディです。
2人の会話の掛け合いがおかしく、その端々で見え隠れする姉と弟の絆がよかったです。両親を早くに亡くし、2人で生きてきたことによる絆の強さが作為的になりすぎずいい塩梅でした。
・よかったところ
なんと言っても主役2人の掛け合い。舞台版から一緒に競演していたことも大きいと思いますが、間や雰囲気が絶妙でした。
あと小野寺宅の家の実在感のある感じがよっかったです。昭和40年代の建物の間取りや小物、風呂の小ささとか良かったです。その古臭さが小野寺姉弟の雰囲気に合っていて、作品に一役買っていたと思います。
・引っかかったところ(ネタバレあり)
話の大きな所を占める二人の恋愛話。これが与太話中の与太話。
姉のより子のおせっかいで出会った弟の進と山本美月演じる絵本作家の薫なわけですが、この出会いの演出が古すぎる。今時、一目惚れの瞬間を人物の周りの光を明るく照らして輝いているように演出し、スローモーションにする。
なんつーか古い、というか漫画的演出でぐったり。
あと本作は光が作為的というか舞台のようなときが時折あります。終盤のより子が部屋で泣いてるときや、外に照らされたワイルドストロベリーを照らす明かりとか。この光の使い方は舞台を経験した監督の功罪でしょう。(たぶん)
で、この恋愛話がしょーもなくて結局『顔』かい!!という。
調香師の進が会社の「ありがとうの香り」を作れということから臭いを求めて公園を嗅ぎまわっていると薫と再会するのですが・・・。
まずそんな不審者、1度会ったというだけで話しかけないと思います。話しかけるだけではなく、グイグイくる薫にコミュ障感満点の進はしどろもどろになり逃げ出すように帰ってしまう。
普通ならこの時点でないですよ。で、三度公園で再会するわけですが進に再会したくて毎日うろついていたという・・・。
薫がここまでグイグイ来るのはこの時点では、特に背景がなく結局顔で選んだ感が否めません。その後も絵本の相談するは、クリスマスパーティーに誘う(より子も一緒)は・・・。もう凄い肉食感でグイグイ来てビビッてまた逃げ出す進。
絵本の相談で進の優しさに惹かれたとしても、以前の公園でのエピソードが尾を引き悪い印象しかないです。この女性。したたかと言うか、何と言うか。
過去の恋愛を克服し、付き合ってくれと告白する進に「遅い。もうダメなんだと思ったから留学することにしちゃったんですよ」とあっさりフラれる進。
・・・ε-(ーдー)ハァ
姉のより子のほうも悲惨でした。及川光博演じる営業マンの浅野が相談があると買い物に誘う。キャッキャと楽しそうに買い物する2人。どっちのがカワイイかとか、プレゼントにはどっちがいいかとか聞く浅野。この時点でけっこーヤバイ雰囲気がプンプンなんです。で、案の定より子ではない人物へのプレゼント。しかもよりによって、より子の働く眼鏡屋の向かいの若くてかわいい女の子。より子には無愛想で常にやる気なさそうに働いてるような態度なのに、浅野が来ると愛想よく話しかけてくる典型的イヤな女。
もうね、浅野不幸になれ!
と心底思いました。
それまでの思わせぶりな態度やらなんやらで、独身年増女を弄んだ罪は重く地獄に落ちろという感じです。
この小野寺姉弟2人の恋愛エピソードの不快感のおかげで姉弟の絆よりも結局人間「顔」という印象が強く残りました。あーやだやだ(´Д`) =3
より子が家に帰ってきて部屋で落ち込む。窓から外を見ると、庭に咲くワイルドストロベリー。ワイルドストロベリーは育てて花が咲くと、恋愛成就とか結婚できるとかいう伝説があるらしいです。
風水やら占い好きなより子はこれを見て号泣。そりゃー泣くわ。よりによって、より子の誕生日。
この瞬間腕にしているパワーストーンを引きちぎったらおもしろかったな~とか思いました(´・ω・`)
あとムロツヨシさんて、なんでいつも福田雄一作品のときのような演技なんでしょうか。そういう演技しかできないのでしょうか。
あと、畳貯金のオチも予想外ではなく「でしょうね~」的な感じだったし。
長々と文句をダラダラ書きましたが、小野寺姉弟の2人のシーンは最高でした!
劇場内も自然と笑いが起きていました。
劇場を出るとき、老夫婦の旦那さんが奥さんにボソッと言った一言がこの映画の全てだと思います。
「しかし、あれだな。向君はい~い男だなぁ」
(`・ω・´)
オススメです。
おわり