"凶悪"見たってよ
凶悪
監督白石和彌
製作総指揮 鳥羽乾二郎,十二村幹男
エグゼクティブプロデューサー 由里敬三,藤岡修
出演 山田孝之,ピエール瀧,リリー・フランキー,池脇千鶴製作年 2013年
製作国 日本
配給 日活
上映時間 128分
映倫区分 R15+あらすじ
取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。
本作は予告を見たときからかなり見たかった作品です。実録犯罪もので強烈なインパクトの冷たい熱帯を彷彿させたからです。
で、楽しみのあまり公開前に原作という元の取材記事の文庫の『凶悪-ある死刑囚の告発-』を読んでかなり満足してしまい見に行かずじまいでした。
この映画の元ネタは上申書殺人事件という、日本犯罪史上異例中の異例の死刑囚が他の殺人事件を上申したというものです。
この事件のキーパーソンが『先生』と呼ばれる人物で他人の死により金を生み出す錬金術師として扱われていたようです。
本作が映画化した上で成功している点は1点。
キャラクター造形です!
"先生"役のリリー・フランキーさんはイカれたサディスト的なサイコパスのように描かれていて、非常に映画的に魅力のある犯罪者になっています。冷たい熱帯魚でいうところのでんでんさん演じる村田ですね。
また、劇中でいうところの『須藤』役のピエール瀧さんも、本当にその筋の方ではないかという恐ろしさです。
殺すのも"ぶっこむ"薬やるのも"ぶっこむ"死体処理するのも"ぶっこむ"何かとぶっこんじゃうんです。この語彙力のなさもいい味出しています。
この二人が非常に魅力的ですね。この悪の体現者ともいえる二人ですら、子供に優しかったりする終始悪人じゃないというところも映画の追加要素でおもしろかったです。
この映画は、この二人のキャラクター造形のおかげで楽しかったです!
ただ・・・
事件を追う山田孝之さん演じる藤井 。山田孝之さんは何も悪くありません!ただ、この藤井が事件の取材にのめり込むあまり家族をないがしろにする感じや、藤井の家族問題。この映画での追加要素が非常にノイズでした。
原作での筆者というか記者は、記事を極めて客観的に書いています。主観で感じることは書かないように努力していて、私情は挟まないようにしています。
それが劇中では藤井の私情(フィクション)が時折挟まれているので、これがかなり映画での面白さを盛り下げます。
このノイズさえ気にしなければ、実録犯罪映画としてはかなりオススメです!
実際のスリリングさを感じるのであれば原作を読むのがオススメです。
おわり