"トキワ荘の青春”見たってよ
タイトルだけは知っていましたが、たまたま見つけたので見てみました。
監督ー市川準
脚本ー市川準、鈴木秀幸、森川幸治
製作ー塚本俊雄、里中哲夫
製作総指揮ー増田宗昭、寺尾和明
出演者ー本木雅弘、鈴木卓爾、阿部サダヲ、さとうこうじ、大森嘉之、古田新太、生瀬勝久、翁華栄
音楽ー清水一登、れいち
撮影ー小林達比古、田沢美夫
編集ー渡辺行夫
あらすじ
トキワ荘に集まった若き漫画家志望者たちは、寺田ヒロオをリーダーに新漫画党を結成する。だが、売れっ子漫画家となった石森章太郎・藤子不二雄らと、中々芽が出ない赤塚不二夫・森安直哉等、若者達の明暗は分かれる。
そして寺田も、自身が理想とする「子供たちに理想を教える漫画」と、雑誌編集者が要求する商業主義との間で、深く思い悩んでいく。
Jun Ichikawa - Tokiwa: The Manga Apartment (trailer ...
マンガ界のレジェンド達の青春時代。その舞台であるトキワ荘での青春群像劇です。レジェンド達の若かりし頃が静かな語り口で描かれていきます。私はマンガ界レジェンド達の人生像や哲学を知るのが好きだし、元々トキワ荘話が好きでした。NHKでこの世代の特集あると必ず見てしまう・・・(藤子・F・不二雄、やなせたかしの特集良かったなぁ)まんが道も好きだし、最近だとブラックジャック創作秘話なんかも好きです。
この映画を楽しむには、トキワ荘はどういう場所か。手塚治虫やそのフォロワーとしてトキワ荘に集まったメンツたちの名前くらいは知ってないと楽しめないと思います・・・。単純に青春映画として見るには敷居が高い気がします。
配役は上から
今では、主役や名脇役の方たちもいますが、当時は若手だったみたいです。
本当の写真
こうやって見比べると似てなくはないかな・・・?
『寺さん』こと寺田ヒロオは、まんが道の恰幅のいい頼れる兄貴感の印象が強くて本木雅弘さんの線の細さが気になりましたが、下の写真見ると案外似てたm(_ _)m
・よかったところ
・藤子不二雄コンビ
このコンビが机並べて作業する姿は、まんが道のワンシーン見るようでグッときた。静かな口調でアイディアを出し合ったり、売れっ子になってから黙々と作業する姿がよかった。
・寺さんの掘り下げ
主役が寺さんなので、寺さんの人の良さ(トキワ荘のメンバーが困ったとき必ず寺さんに相談する感じ)や寺さんの葛藤が掘り下げられていて良かった。
寺さんは児童マンガばかり書いていたので、手塚治虫に代表されるストーリー漫画やその後の劇画と比べて完全に時代遅れになってしまいます。藤子不二雄や石森章太郎が先に売れてしまい、それをただ見つめる寺さんの寂しさ。
編集者にも違うのを書けと言われても、自分のマンガに対しての曲げられないポリシーとの葛藤が静かに描かれていました。
印象的な台詞に、寺さんがつげ義春に「つげくんのマンガ、よく見るんだけどマンガに自分の傷を載せるのはひつようなのかな?まぁ僕のマンガは幼過ぎるんだけどね」だったり、石森姉に「石森くんは、やっていけますよ。彼は本当の意味でマンガに市民権を与える人なのかもしれません。僕のはちょっと弱いから」とか。自分を客観視できてるのが、余計に虚しい。
・やるせなさと虚しさ
上記のような寺さんだけではなく、マンガ界を諦めアニメ界に行く鈴木伸一。逃げてしまう森安。編集者に、才能ないから辞めて実家に帰れと言われる赤塚。
彼らのやるせなさと虚しさが淡々と伝わります。
・時折差し込まれるトキワ荘の看板と外観が印象的
・ラストの寺さんとエンドロール(ネタバレ)
最後、寺さんの部屋に残された集合写真が未来を暗示するかのような無常さが漂います。場面は変わり、河川敷と思われる場所で佇む寺さんの所に野球ボールが飛んできます。ボールを拾った寺さんが返球すると、子供は寺さんにお礼を言います。それは、寺さんに対するみんなからのお礼の代弁であるかのようです。
そしてエンドロールへ。エンドロールには8ミリで撮ったような映像があり、トキワ荘のメンバーが楽しそうにワイワイしてる姿が切ないです。
・ひっかかったとこ
私はトキワ荘話し好きなので、最後まで興味を保てました。しかし、かなり静かなトーンで描かれていくので、トキワ荘に興味がなかったら最後まで見れたか疑問です。
この映画が公開されたとき手塚先生も寺さんも他界していました。今では写真のメンバーだと藤子不二雄A・鈴木伸一・つのだじろうのみ存命という悲しさ・・・
マンガ好きというか、トキワ荘の話が好きな人は1度は見ても損はないと思います。
まんが道を読んだことがない人は、まんが道を先に読むことオススメです。
おわり