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映画や漫画に対して、140字では語りつくせない思いをたれ流していきます

本当今さらなんだが"横道世之介"見たってよ

横道世之介

この映画の評判のよさは聞いていました。しかし未だ見ておらず、今になって見るに至りました。


『横道世之介』予告編 - YouTube

横道世之介』(よこみち よのすけ)は、吉田修一による日本の小説である。2008年4月1日から2009年3月31日まで『毎日新聞』に連載、2009年9月16日に毎日新聞社より刊行された。2010年度柴田錬三郎賞受賞作。また同年度の本屋大賞3位に入賞している。2013年2月23日、これを原作とした映画が全国公開された。

 

作者・吉田によると、主人公名を作品タイトルにする方針に沿い、まず世之介の名前が決定。「名字は韻を踏んだほうがいい。」という助言を踏まえ、作者の郷里でもある長崎で横着者を指す「横道もの」という言葉および、横道に逸れるといったニュアンスを意識し、決まったとのこと。

横道世之介 - Wikipedia

 

また愛しい映画に出会ってしまった・・・

 

今作を楽しむためのポイントは1つ!

 

横道世之介を好きになれるか

ということだけです。

 

ネタバレありきでいくぞ!

あらすじ

1987年、大学進学するために上京した主人公・横道世之介長崎県の港町出身の18歳。性格は、どこか図々しくも人の頼みを断れないお人好し。世間知らずな社長令嬢でガールフレンドとなる与謝野祥子、大学の友人・倉持一平、年上の憧れの女性・片瀬千春、女性に興味がない同級生・加藤雄介など周りの人々をとりまく青春物語である。

横道世之介 - Wikipedia

まず世之介が上京するとこから始まるのですが、街並みのショットから始まり、どっかの地方かなぁと思って見ていると、古ぼけた駅の出口に『新宿』の文字。何やら皆着ている服が古臭い。

なるほど、現在ではないのか!と判明。 

大学の入学式が終わりサークルの合宿が始まったころには世之介に夢中でした!

 

合宿のシーンから突然自動車洗浄機のシーンになるのですが、急に何だ?と見ていたら、風景の雰囲気が現代に。

すると見るからに歳をとった世之介の友達。2人は世之介について話し出す。

なるほど!そういう映画か!とやっとここで理解したわけです(´・ω・`)

 

そこからは、もう世之介が愛おしいキャラになっていくわけです。

ぼさぼさのクセのある髪や猫背。なよなよした立ち方や、会話が噛み合わない感じ。体臭を気にして、さりげない動きに合わせて脇のにおいを嗅いでしまう思春期特有の自意識の感じとか。もう全てがチャーミングでした!

この作品のおもしろさの1つに、会話の噛み合わなさや「あ、あ~」とか「は?」というような他人とギクシャクする微妙な空気感があります。

大好きな"桐島"にもある、こういう会話演出は好物です!


映画『桐島、部活やめるってよ』予告編 - YouTube

 

また綾野剛さん演じる加藤と出会ってから物語がまた展開するのですが、そこからの大きな役割を担うのが吉高由里子さん演じる与謝野祥子というキャラクターがいます。

世間知らずと言うか浮世離れしているというか、マンガから出てきたようなステレオタイプのお嬢様なのです。印象的なセリフ「ごきげんよう」「世之介さーん」が耳から離れないほどです。

この吉高さん演じる祥子が個人的にスーパーかわいくて、吉高さんが演じる役史上NO.1ではないかと思うほどです。

なんなんだ、これは!

たぶん吉高さんだから何とか成り立つ猛烈キャラなわけですが、本当にかわいいんです。

 

なので世之介と祥子がキャッキャッ、ウフフしているのを見ているだけで微笑ましいんです、もう。

 

劇中で時折過去と現在が入り混じって、現在パートで過去に世之介と関係した人物が出てくるわけですが"ある不穏な空気"が彼らには漂っていて中盤くらいで明らかになるんです。

出会えたことが、うれしくて、可笑しくて、そして、寂しい――。

このキャッチコピーが全てを表しています。よっ、名キャッチ!

そして、そのある事実に帰結するような感じで幕を閉じるわけです。

 

この映画2時間40分を要するのに、大切なことは何も語らない!

物語の推進力はほとんどなく「物語ではない!」と怒る方もいらっしゃるらしいです。

私もこの手の日常系というか、ほのぼの系は苦手でした。

さらに2時間以上の映画嫌いなはずでした。

が、しかし!

そんなこと以上に世之介を好きになってしまったわけです。

世之介と祥子のキャッキャうふふをずっと見ていたいし、エンドロールになったときには「もう終わりかよ・・・」と思うほどでした。

 

おそらく最初の段階で引っかかるとこを気にしすぎると乗れず、最後まで乗り切れないのだと思います。いろんな批判があるのも充分分かります。突っ込み所もあると思います。

あえて1つ完全な世之介信者の私が欠点を挙げるなら、横道世之介はどこにでもいる普通の人となっているが高良健吾さん、どっからどー見てもイケメン過ぎる。あんなイケメン普通じゃないし!という点でしょうか。

 

恋は盲目というとおり、この作品には盲目になってしまいました。

ハンバーガー屋で相手を無視してケチャップ取ったり、ラーメン食べながら読んでる雑誌を箸でめくったり。そんな世之介も祥子と出会って、クリスマスに部屋飾りつけて相手のコートをかけてあげられるくらいの気をつかえるようにもなったし。いいね、世之介!

また主役級の役者は現代顔なんですが、その他大勢の役者はThe昭和的な顔をしていて、よく見つけてくるなぁと感心するばかり。

また、過去と現在だと映像の質感も違う感じがします。細部のこだわり、脱帽です。

 

この作品では世之介のポジティブな側面ばかり描かれていて、ネガティブな部分は物語の外にあります。写真包み紙の演出なんて絶品でした。物語の外の部分を考える余白がある作品なのも嬉しいです。

全てを語り、全てにオチをつけることが物語ではないと思います。

 

横道世之介の何者でもない時代から何者かになるまでの青春とかモラトリアムとか言われる時間を見ることができる喜びを得られること間違いないです!

ただ少々お時間かかりますけど

沖田監督の他の作品も見てみたくなりました!

 

もう1つ。

何者でもないモラトリアムのみを描いた作品。"もらとりあむタマ子"も上映時間も78分と短くオススメです!

タマ子も愛しいキャラです。


映画『もらとりあむタマ子』 - YouTube

好きになれる映画って、また会いたいと思えるキャラが出てくるものだとつくづく思います。

 

おわり

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